窯焚きには

・「酸化焼成」・・・窯内にジュウブン酸素を供給する焚き方。
          (窯内から煙突へ流れを作り、外気のとりこみをスムーズに行い酸素をとりこむ)
・「還元焼成」・・・窯内への酸素供給を制限し焼成物から酸素を奪う焚き方。
          (煙突への流れを少なくし、外気のとり込みを抑える)

この2種類があります。

近代の窯では煙突の「ドラフタ(空気ダンパ)」と呼ばれるもので
ほとんど「酸化」「還元」を焚き分け、調整できるようになっています。
ただし電気窯は煙突がありませんので、還元焼成の場合、窯内の酸素を
奪うためバーナで窯内に炎を送ってやらなければなりません。
「酸化焼成」の焼き物として 織部(緑)、黄瀬戸(淡い黄)などがありますが、
これらを「還元焼成」で焼くと一概にはそうとは言えませんが それぞれ赤色、薄水色になります。
これは釉薬中の金属類が原因で、 織部釉には銅が、
黄瀬戸にはほど良い鉄分が添加されているためです。
また、焼き物に使う陶土「素地(キジと読みます)」の選択は
「酸化・還元」を考える上で、切っても切り離せない関係です。
鉄分を多く含む素地は、還元焼成において、施す釉薬に発色の点で 多大な影響を及ぼしますし、
高温に弱い(耐火度が低い)という特徴もあり、還元においては
さらに その傾向を強め、焼成物の変形をまねきます。
また還元では鉄分や長石(白っぽい砂粒みたいなもの)などが
焼き物表面に噴出してきます(ザラザラ、プツプツ、テンテン)。
中国の青磁に代表される焼き物に使われる磁器土は鉄分もなく
耐火度が高いため高温で焼くことができます。
さらに還元焼成のため釉薬中の鉄分が薄水色になり、 あのような、なんとも凛とした、
涼しげな焼き物になります

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